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相続した実家が違法建築だった | ひろしま相続相談センターのブログ

相続した実家が違法建築だった

2024年04月22日

カテゴリ:不動産 相続

過去に相談があった事例をご紹介します。

当社は築100年以上の古民家の再生なども請け負っています。
そんな流れから、11年前に築100年近い立派な家のリノベーションを依頼されました。

お客様の要望は

  1. 老朽化も進み不安、耐震改修を行い安全に住めるように。
  2. 古民家の良さを残しつつ、時代に合わせた住みやすい空間にしてほしい。
  3. バリアフリーにしてもらいたい。

主にこの三点でした。 古い建物でもありますし、すべての構造を確認することも費用的に困難と判断し、瑕疵担保責任を負わない事を原則として工事を請け負いました。
お客様のご要望であった1.・2.・3.の工事もしっかりと施工し、とても感謝して頂きました。
「快適に暮らしていますよ」とアフターフォローの時、伺っておりました。

そしてここからが本題です。
9年という月日が流れ、2年前に息子さんからお電話がありました。
「母、父も無くなり実家を相続した。広島には住んでいないので実家を売却してほしい。」

お世話になったお客様がほぼ同時期にご夫婦とも亡くなられたと聞き、ショックを受けました。息子さんは相続問題について弁護士等に相談されていたようで、私にも色々と質問があり、内容は以下になります。

  1. 実家を売りたいが、違法建築ではないか?
  2. 違法建築であれば購入希望者が出たとしても住宅ローンが組めないのでは?
  3. 家を解体して更地にすれば売れるかもしれないが、売れなかったらどうしようか。
  4. いずれにしても売却価格は安くなるのか。

まだリノベーションをして10年未満、設備機器も新しく、古民家の良さを残しつつ、時代に合わせたモダンな意匠、構造的にも補強もされています。
お客様からすると、まだ価値ある物件なのです。
しかし、年代からして既存不適格建築物でもあり、違法建築物でもありました。

ここで既存不適格建築物違法建築物の違いを簡単に説明します。
既存不適格な建物は、建設時に法的基準を満たしていたものの、時間とともに基準から逸脱したものです。要するに、建てた時の法律には適合していたが、時代も変わり現代の法律には適合していない建物です。
一方、違法建築物は建設段階から法的に問題がある建物であり、建設許可を取得せずに建設、建設許可を取得し、法的にも問題ない建築物であったのに、その後無許可で増築などをしていたなど、法的規制を無視した建築が行われた建物です。
いずれにしても売買するにあたり、買主は住宅ローンが組めない物件なのです。

この物件は11年前、当社がリノベーションを請け負う時点で、過去に2階の増築や、母屋の増築、倉庫などの増築もされていたので、既存不適格建築物に加え、違法建築物にも該当するとお伝えし、もし全てを改善したとしても新たな申請をして許可を得ることは、ほぼ不可能とお伝えをしていました。

当時のお客様は「夫婦二人があと何年か、快適に過ごせることが希望です。工事にお金を使う事、子供たちにも許可を得ています。」ということでしたので、息子さん達にも説明し、合意を得て工事を請け負いました。

それはさておき、もし、相続した家が既存不適格建築物や違法建築物だったとしたらどうするのがいいのでしょうか?
住み続けるのなら問題ありません。
相続した家に、そのまま住むのであれば問題ないことが多いです。
違法建築であったとしても、親はずっとその家に住んでいたのですから。
違法建築だからといって行政から是正命令がくだることは稀です。

実際のところ、問題になるのは売却したい時です。
まず違法建築だからといって売却することができないということはありません。
きちんと既存不適格建築物・違法建築物であることを買主に伝えて、納得の上での売買であれば問題はありません。要するに「現状有姿」の条件で売却することです。
ただ、違法建築の場合には住宅ローンを利用することができません。
家を気に入ってくれて買いたいという人が現れても、住宅ローンを使って購入することができないんです。金融機関は違法建築に対して融資をしてくれません。
ですので、もし、違法建築の家を売ることになるのであれば、現金一括で購入してもらうことになります。現金一括で家を購入できる人は少ないです。資産家や、会社経営者、法人などに買主が限られます。買主が限られるということは、あまり高く売ることは見込めないということでもあります。ですので周辺の過去の売買金額より、かなり安くしなければいけないことが多いです。 

では建物を解体し、更地にして売却してはどうか。
相続された家は築年数が経っている物件が多いです。家の価値というのは、年々下がってしまいます。これは「耐用年数」と言われており、法律では22年で0円になると言われてます。なので、違法建築の建物付きであっても、ほぼ土地の値段で売ることになります。
建物の規模や土地の条件によっては、例え解体費用がかかったとしても更地にすることで売買金額が上がることもよくあります。立地にもよりますが、違法建築の建物付きの状態よりも高く売れる可能性がでてくるのです。また、解体費用が無い場合は売買契約の特約に売買決済後に期間を決めて解体更地にするなどの条件を入れるなど売主にとっても安心できる売買の仕方もあります。

結果として、今回の事例は「現状有姿」の条件で、相続された方も納得された金額でご相談から半年後に当社で売買をさせて頂きました。実際に古民家再生工事を施工した当社からしても、思い出の物件が無くなることなく、そして購入者様との新たなご縁も頂けたので最高の結末となりました。

いずれにしても、今現在不動産が絡む相続問題などで悩んでおられる方、特定の人からの意見を聞くのではなく、それぞれのプロが在籍する「広島相続相談センター」に一括でご相談をされてはいかがでしょうか?


つかさ建設株式会社

代表取締役 平井淳司

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